社会保障を考える その3 ~社会保障セミナーに参加して 地域包括ケアと医療のあり方は!?~

11月の「地方から考える社会保障フォーラム」セミナーでは、厚生労働省のる室長、課長を講師にお話をお聞きすることができました。

国が考える「地域包括ケア」とは!?

高齢者の介護をめぐって厚生労働省は、「地域包括ケア」の構想を出しています。

私は、現在、国が示している「地域包括ケア」のあり方についてどのようなものであるのか、市民の視点で知るため、地域の皆さんと調査研究活動を行っていますが、八王子市にヒアリングしても、国の方針がまだまだよくわからないという回答でした。

そこで、今回のセミナーで国が考えている地域包括ケアの方向性について制度改革に携わっている講師の先生に質問をしてみました。

「国が進めようとしている地域包括ケアでは、最期まで住み慣れた地域で過ごせる在宅介護の充実をうたっていますが、実は、国にはもうお金がないから高齢者が増えても施設はつくれません。だから在宅でがんばってほしいという話なのか、それとも、本人の尊厳を保ち、最期まで在宅で暮らしたいという市民の希望に添うものになるのか、地域包括ケアの方向性を聞きたい。」との質問に対し、

回答として、「住み慣れた地域で高齢者の方が最後まで暮らせる環境整備をしていくことは大切だと思っている。施設整備については、特別養護老人ホームなどの施設利用については、重度の人が利用できるよう利用の効率化適正化を図ることが必要。今後必要となる在宅医療などの整備については、これからは地方分権の時代なので、地方自治体が医療機関など地域資源を把握してうまく組み立てていくことが大切。」というお話でした。

回答を聞きながら、国もすべてを把握できているわけではないということを感じました。

そして、地方自治体ががんばれということですが、それを国が言うのであれば、今回のセミナーのタイトル、「地方から社会保障を考える」の通り、国としても各自治体からの声をしっかりと受け止めた今後の制度づくりをしてほしいと思いました。

また、これからは地方分権の時代というのであれば、各自治体が地域の実態に即して自由に施策展開できるような地方分権化を介護保険制度の分野でも制度として構築していってほしいと思いました。

特養などの施設整備は抑制の方向にあるようですが、単身者が急増し、家族が核家族化している中で、親の側に住んでいない人たちも都会にはたくさんいます。特別養護老人ホームの待機者が42万人もおり、介護を支えきれない家族からは、依然として施設整備を望む声が多いのも事実です。

国は、居住系サービス(有料老人ホーム)やサービス付き高齢者住宅などを推進していますが、所得の低い人にとっては、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅には手が届かない現状もあります。

市民が望む在宅介護のためのサービスの充実を図ることは大切であり、国は、在宅介護の限界点を高める方針ですが、在宅介護が限界になったときには、やはり施設も必要になってきます。施設整備が不十分で、施設利用ができない状況がもし今後起きるようであれば、利用者本人も困りますし、家族も疲弊してしまいます。

最期まで心も体も元気に暮らせるまちづくりも大切

平均寿命と健康寿命の差が、男性で9.22年、女性では、12.77年と言われ、一度介護が必要になると長期に渡ることも珍しくありません。閉じこもりの高齢者も増えていますが、体を動かさないことで、健康状態が悪化し、医療介護が必要になるケースも多いようです。

今後国は、健康寿命を延ばすための取り組みを推進していくようですが、高齢になっても生き甲斐を持って生き生きと元気に暮らせるまちづくりは、行政より市民の方が得意だと思います。

ぜひ地域の住民の活動の支援など他面的な支援をしてほしいと思います。そしてこうした社会をつくりながら、制度として、サービスが必要な人には必要なサービスをきちんと提供できるような介護保険制度をつくっていくことが必要だと思いました。

リビングウイルを伝えることの大切さ

医療については、本人が望まない胃ろうや呼吸器の装着など延命措置の問題があり、そのことで、医療費が無駄に使われていることは、二重に問題です。この延命措置と尊厳死の問題について、私は講師の方に質問をしました。「本人が望まない延命措置の問題点については認識も高まってきている。今後は医療機関への周知や本人のリビングウイルを明確に家族や医療関係者にも示していくことが大切。」との回答がありました。

医療の課題を見直し他面的健康づくりの支援を

さらに医療の課題として、薬漬けで健康状態を悪化させたり、もらった薬を捨ててしまったり、クリニックが高齢者のサロンのようになっている現状など課題もたくさんあります。

日本の医療では予防医学には、医師も熱心ではない状況があります。食事や運動の見直しも生活習慣病の予防には極めて重要です。

国は地域保健活動を推進をし、保健師の役割を見直す方針ですが、今後は予防医学の推進をしながら、病気にならない生活を促せるような、食育などの情報提供や交流相談のできる拠点づくりなど、生活に落とし込んだ他面的な健康づくりを進めていくことが、持続可能な社会保障制度に向け、重要だと思いました。

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