森友問題を巡って国会の審議が空転してきた様子を受け、海外のメディアは、日本の民主主義は壊滅的とコメントしているようです。公文書が適切に管理されない国、日本では、過去にも様々な問題が明確にならず、闇にまみれたままになっています。

いつまでもこのような状態が続くことは、国民にとっては大きな不利益ではないでしょうか。

公文書を巡り、日本の政策はどのように進められてきたのでしょうか。

公文書管理の第一人者 瀬畑源氏の著書『公文書問題 日本の「闇」の核心の本』 久保亮 瀬畑源 両氏の共著『国家と秘密 隠される公文書』を読んでみて、改めて日本がいかに公文書管理の点で遅れているのか、そしてそのことが、数々の政治的な問題につながっていることを痛感しました。

公文書をないがしろにする日本の政治体質が森友問題で露呈

学校法人・森友学園との国有地取引をめぐり、財務省の契約当時の決済文書と、その後に国会議員に開示された文書の内容が異なっている問題、いわゆる森本問題を巡り、野党の追及が続く中、ようやく証人喚問が行われることになりました。

「もしフランスで官僚が森友問題と同じ手口で公文書を改ざんしたとしたら、公務員から解雇され、刑務所に送られるだろう。処罰は迅速かつ容赦ないものとなることは間違いない」と、フランスの上級外交官は話す。(東洋経済onlineより)

過去にも公文書を巡って問題がたくさん起きている

今回の証人喚問で実態の解明につながることを願うばかりです。

森友問題は政権の信頼を大きくゆるがすゆゆしき問題ですが、こうした公文書問題は今に始まったことではないと瀬畑氏は言います。

南スーダンへのPKO派遣における現地舞台の「日報」が短期で破棄されていた問題。

豊洲市場移転問題では5880億円もの税金がつぎ込まれる大規模事業であるにもかかわらず、小池都知事が調査特別チームを立ち上げ、文書を探したが、見つけられないという状況が明らかになった問題。

加計学園問題では、50年以上認められなかった獣医学部の新設が、総理の友人が理事長を務める加計学園だったということで、首相が便宜を図ったのではないかという疑惑に対し、「総理のご意向」の文書について、文書の存在やその内容を否定した政権と、「あるものがないことにされてはならない」と証言する前川文部次官。

国の最高責任者が自分の身内に便宜を図ることにつながる事態を招いていること、そして、公文書の取り扱いを巡って政権と官僚の考えに相違がある現状が明らかになりました。

遅れている日本の公文書管理体制

瀬畑氏によれば、こうした公文書の取り扱いを巡っての認識のずれやごまかしがまかり通る背景には、日本の公文書管理に関する考えが、海外に比べて遅れており、公文書管理体制の不備が戦前、戦後を通じて続いてきたことがその要因となっているということです。

日本は、イギリス、フランス、アメリカといった、市民運動から生まれた公文書の管理体制を持つ国々に遅れを取っているだけではないようです。

中国では王朝の正史編纂のために公文書の管理体制が、伝統的に作られてきたそうです。

また、韓国と比べても日本の公文書管理体制はずいぶんと遅れているというのです。韓国では、王朝、植民地時代、建国以降の3種類の公文書管理体制があるそうです。

一方、日本の公文書管理体制の整備は、福田首相の熱意によって、ようやく公文書管理法の整備にこぎつけ、2011年がその施行の年となっています。

みんなで考え、改革していきたい日本の公文書管理制度

この公文書管理法の理念の浸透も管理体制の整備も今もってまだまだ不十分な中で、今回のような問題が長期政権下によって引き起こされていることは、日本の政治にとって大きな不幸としかいいようがありません。

国民の知る権利をないがしろにしていては、決して良い政治はできないと思います。

ぜひ、この公文書管理制度の問題については、日本の政治を良くしていく礎として、

皆さんとともに考え、整備体制を進めていきたいと思います。