八王子市が進めている中核市移行問題について、ホームページや若尾きみえ通信8号でも取り上げてきました。

中核市は、分権化の流れから言えば、本来は推進していくべき内容のものです。

しかし、これまで中核市は、権限は手にしたものの、財源問題では苦しんでいるのが実情です。

まさに地方分権の両輪の一つである財源が確保できなければ、「名は取っても実を得ず」

市民サービスは充実するどころか、悪化する可能性もある。中核市移行については慎重な対応が必要だと私は、述べてきました。

市長は、先日の市主催の中核市の講演会でも、都との協議を進める中、財源問題については、見通しが付いたと述べ、移行への自信を強くしているようです。

しかし、財源問題が解決したとはまだまだ言えません。

そして、市民にとっては、一見、中核市移行で自治体の核が上がって喜ばしいことのように見えますが、

移譲された権限を使ってまちづくりを独自に進めることは、首長のまちづくりへの考えが

直接的にまちに影響していくということです。

今、市街化調整区域の開発をめぐり、議会でも請願審議が行われていますが、

攻めのまちづくりを掲げる石森市政の元で、市街化調整区域の緑の開発を容認する流れが出てきています。

移譲された権限を使ってどのようなまちづくりをしていくのか、よいまちづくりができるのか。

首長の市政や力量が問われ、さらには、市民の考えや力も問われてきます。

今こそ、市民が市政を注目していくことが大切だと思います。

詳細は以下をお読みください。

◎財源問題にはさらなる研究と協議、慎重な判断を

前回のレポートで、中核市移行での財源問題を取り上げてきました。その後市は、都との協議で、「都単独事業部分の財源提供はする」との回答を得たしていますが、都は「お金を出すが、口も出す」という考え。これでは、めざす分権化と言えるのか疑問です。また、中核市移行で地方交付税が増えるというのが市の見解ですが、多くの中核市が財源問題の壁に突き当たっています。さらなる研究と協議、慎重な判断が必要です。

◎職員の人材育成も大きな課題

中核市へ移行した多くの自治体では、時間をかけたていねいな議論と準備のプロセスを踏んでいます。これまで八王子市は、小さな政府をめざし、職員数削減、専門的職員の育成よりは、ジェネラリスト育成の方針をとってきました。中核市移行に向け、専門性の高い事務を適切に行う人材育成が必要ですが、移行を急ぐ本市に、職員からも準備不足を懸念する声が出ています。

◎どういうまちづくりをめざすのか? 分権化で首長の姿勢、市民の力も問われる

開発行為の許可権限は、移行後、都から市に移譲されます。川町の市街化調整区域の緑を巡り、開発か保全か、まさに議論が行われている最中ですが、首長の姿勢は、まちづくりを大きく左右します。攻めのまちづくりを掲げる石森市長は、少子高齢化が進展し、税収確保が厳しいこの時代に、開発に舵を切ろうとしています。しかし、今求められているのは、開発に税金をつぎ込み、まちを拡大することではなく、空き家や空き店舗が増える中で、コンパクトシティ構想のもと、今ある地域資源を最大限に生かしたまちづくりを進め、地域を再生し、まちや市民を元気にしていくことだと思います。

地方分権への取り組みは大切ですが、開発の方向を向いた石森市政での中核市移行が、果たして八王子のまちづくりに効を奏すのか。まさにまちづくりに対する首長の姿勢と力量が問われ、最終的には、市民の考えと力も問われてくる問題だと思います。今こそ、市政に対して多くの市民に関心を持ってほしいと思います。