子育て支援が充実しているフランスでは、ヌーヌーという制度があることはその1で紹介しましたが、その他にもいろいろと日本とは違った子育てしやすい環境があります。

子ども手当が充実している 

またフランスでは、子ども3人目では、1人目、二人目に比べ高い子ども手当が出されているということで、子どもをたくさん産みやすい環境整備もされているそうです。

婚外子に差別がない

また、フランスでは、婚外子も差別されることなく、子育て支援が受けられる状況であり、結婚しないで事実婚で子どもを産み育てるということもあるようです。

一般的に、子どもを産むなら、結婚しないと考える日本の国のように子どもを持つことに、ハードルが高くないようです。

フランスは離婚も多いということで、一概にフランスがいいかどうかわかりませんが、少なくとも子育て支援は国が責任を持ってやることと考え、税金をかけ、支援体制を差別なく充実させている点は、今後少子化が進む日本の中で多いに見習うべき点だと言えます。

 

男女が平等な立場で、女性は仕事も子育ても 男性も育児参加

さらにフランスでは、夫婦関係では、男女がほぼ対等。結婚しても、女性は母親である前に女性であるということが前提で、女性はおしゃれですし、、育児は女性だけでなく、男性も育児に参加する。そして、育児に参加できるような働き方ができるように保障されているということです。

 

フランス人の働き方

日本人の企業人としてフランス人と仕事をした宮下さんの夫は、納期までに絶対やらなければならないとかフランス人は絶対に考えないので、本当に一緒に仕事をするのは大変だったとこぼしていたそうです。また宮下さんご自身も、いつまでも工事が終わらない建築物が結構あったて、日本の感覚から見ると不思議だなと感じたとのことです。

確かに、納期までに何が何でも仕上げると組織全体で、個人の生活時間を犠牲にしてまで仕事をする日本の会社は、さすがに仕事は早いですよね。

しかし、こういう日本の会社のやり方は、日本の経済成長の面では、大きく貢献したかもしれませんが、このことが、ある一面では、日本の社会をとても貧しくしてきてしまったような気がします。

フランスは、民衆が、戦いによって、権利を手にした歴史的経緯がありますが、社会制度としても働く場を保障する、休みを保障するという考えがしっかりされていて、日本に比べて、労働者の立場が守られているので、安心働ける環境があっていいなと思いました。

 

日本の仕事優先社会で失われているもの

 

仕事最優先で、子育ての時間や家庭の時間は二の次三の次で、やってきた日本の男性は、夫婦の時間、子どもとの大切な時間を失うことにもなり、そのことが、少子化にもつながっているのではないかなと思います。そして、地域との関わりのない生活を長年送っていると、家庭での居場所がなくなったり、地域とのつながりがなくなって定年後は濡れ落ち葉と言われてかねない。残念ながらこんな現実があるのではないでしょうか。

 

日本で少子化になっても仕方がない社会背景

子育ての関係にもう一度戻ると

男性が、子育てに参加できない。→母親一人に負担のかかる子育て。女性が仕事と子育ての両立ができない。→女性が辛くなる。→子どもはたくさんいらないと考え、少子化になる。→仕事優先で仕事をしていれば役割が果たせていると考える夫に対し、妻の感情は悪化。最悪離婚に至るケースも。

こんな悪循環を生んでいるのではないでしょうか。

(もちろん日本では、教育費が高いことも大きな一因でしょうけれど。)

 

余談ですが、最近の研究では、子どもが小さいときに夫に手伝ってもらえたか、もらえなかったかによって、妻の夫に対する、気持ちが大きく左右され、ゆくゆくの夫婦関係にまで影響していくという結果が出ているそうです。

男女ともにハッピーでいられるよう、この働き過ぎの状況は異常だと認識しておいた方がいいと思いますし、国としても、働き方にもう少しメスを入れていくべきだなと思います。

 

フランスの学校では、いじめがなかった

教育面では、日本では、深刻ないじめが大きな問題になっていますが、宮下さんのお話によると、フランスは、移民の国で、様々な国の人がいる中で、違うのが当たり前。日本のように一律にみんな同じだ、同じようにあるべきと考える発想がなくて、違うことを前提に子どもたちも学校でも過ごしているので、日本のようないじめはなかったというお話も印象的でした。

 

フランスでは、社会教育面でも所得格差に配慮

さらに、フランスの学校教育では、日本のように体育や音楽はやらなくて、各自で、社会教育としてアクティビテの中でやると言うことです。

興味深いのは、この社会教育にも、所得によって、支払うお月謝の金額に差があって、所得の低い家庭の子どもたちもいろいろな体験ができるように環境整備されているということでした。塾もないそうです。日本では、学校教育にかかる費用だけでなく、塾の費用が家計を圧迫していますが・・・。

 

違った目で、もう一度日本の社会を見つめ直してみたい

 

聞けば聞くほど、フランスと日本、まったく違う歴史と文化を持つ国だなと思います。

閉塞状況の中にある日本の社会ですが、こんなお話を聞きながら、もう一度自分たちの文化や社会のよさを確認してみる。そして、その一方で、新たに変えていった方がいい点についても、じっくり考えてみた方が良いのではないかなと思います。

 

パリ郊外での子育ては、在住当初は、ことばの問題もあり、不安を感じながらのスタートでしたが、フランスでは、行政と市民が近くて、子育て支援が充実しているし、人と人との関係が日本より近い感じで、いろいろな人が親切に助けてくれたので、とても良かったです。いろんな意味でフランスが大好きになりましたという宮下さんのお話でした。

日本も、ぜひフランスのような国が子育てしやすい環境を、整備していってほしいなと思います。