12月1日、子どもたちの未来と自然エネルギーを考える八王子市民講座が開催され、
小出裕章さんの「子どもたちに原発はのこせない」のお話をお聞きすることができました。

京都大学原子炉実験所の 小出裕章さんは、原発について専門家の立場で、たいへんわかりやすく、お話をしてくださいました。
ぜひ多くの方に聞いて頂けたらと思うお話でしたので、お話の要点をまとめて書かせて頂きます。
◎人類の進化から見て
・厖大なエネルギーを使い始めたのは、人類の進化の中でごく最近のこと。
1800年の産業革命以降人類は急速にエネルギーを使い始めた。
・地球の誕生が46億年前、人類誕生が、400万年前、産業革命は、200年前 
・人類がエネルギーを使えば使うほど、生物の絶滅数も厖大になっていく。

◎原子力発電と火力発電は湯沸かし装置
・たかが湯沸かし装置だが、原発は甚大な放射能を生み出す
→広島原爆で燃えたウラン800g
→100万キロワットの原発一基が一年運転するごとに燃やすウランは1トン

◎事故から無縁な機械はない
・原発を動かしているのは、人間。誤りを犯さない人間はいない。→原発が安全だとは絶対に言えない。

◎原発推進派が取った対策
原子力発電や核燃料を取り扱う施設は都会には作らないことにした。
→原発は危険だということを知っていた。

◎福島原発事故は、今も進行中
・吹き飛んだ4号機の建屋 使用済み核燃料は、プールに保管されているが、そのプールは、宙づり状態になっている。
大地震が来ると、危険。
・核燃料をプールから出して、他の場所に移したいが、移すと大量の放射能が出るので、
出せない。
作業員を動員し、使用済み核燃料を容器に入れて、プールから出し、別の場所で保管する計画だが、高濃度の放射能に被爆する危険と常に隣あわせで、作業はたいへんで、なかなか進まない。
・広島原爆5000発分にも相当する放射能があるので、万が一それが漏れ出すと首都圏も住めなくなるような汚染になる可能性がある。
・今回の福島原発事故では、セシウム137に換算すると大気中だけで広島原爆168個分の放射能が出たことになる。

◎今回の原発事故よって、多大な地域が放射線管理区域にしなければならないほどの汚染を受けた
→福島東半分、宮城県、茨城県の南部・北部、栃木県、群馬県の北半分、千葉の北部、岩手県、新潟県、埼玉県と東京都の一部地域

◎日本の国が倒産しても購いきれない被害
・失われる土地
・強いられる被爆
・崩壊する一次産業
・崩壊する生活

◎事故がなくても悲惨な原子力
・原子力を利用する限り、すべての工程で多種多様な放射能のごみが出るが、人類には、無毒化する技術がない。

◎六カ所村に低レベル放射性廃棄物を押しつけている状態

◎高レベルの廃棄物の隔離処分は地層処分しか方法はないが、地震大国日本で、安全に保管できるかは疑問

◎原子力の資源であるウランの埋蔵量は、石油や石炭に比べるとたいへん少ない。

◎原子力を止めるべき理由
・都会で引き受けられない危険を過疎地に押しつけ
・被爆労働を下請け労働者にしわ寄せ
・生み出す放射能のごみを過疎地に押しつけ
・現役世代が永遠の未来世代にごみの負担を押しつけ

◎子どもたちを守るために
・大人はこのような状況を生んだ責任がある。汚染された食べ物も責任をとって食べるしかないが、子どもたちだけはとにかく汚染された食べ物を与えないようにしていくべき。
→どれくらい食べ物が汚染されているかわかるよう測定値がわかるようにできれた方がいい。
・避難できないでいる福島の子どもたちを少しでも汚染が少ない地域で過ごさせて上げる支援も大切

◎原発は廃絶できる
人々の意識を変え、社会構造を変えていく。