本日は、「『偽りの米軍再編』だれが沖縄に負担増を強いているのか」と題して東京新聞論説兼編集委員の半田滋さんのお話を聞きしました。
目からうろこのお話がたくさんありました。

2006年に日米合意した米軍再編について、アメリカが見直しを提案し、日米協議が再開されています。
そして、アメリカは、「ひとつのパッケージ」としてきた普天間基地移設と在沖縄海兵隊のグアム移転および嘉手納基地以南6施設の返還を切り離しました。

(実は、これまで日本政府は、このパッケージを同時に実行しなければ米軍の戦略に重大な悪影響を与え、嘉手納基地より南にある基地の返還もできないと主張してきましたが、2月3日の米国通信社のスクープで、そのことがうそだったことが、明らかになったそうです。)

これまでのマスコミの論調は、「普天間固定化のおそれ」という一色でしたが、半田さんは、取材を続け、冷静な分析をする中で、交渉次第では、沖縄の負担軽減が加速される可能性もあると述べられました。

福島と原発、沖縄と基地、似たような構造を持つとも指摘されていますが、長年沖縄に強いてきた基地負担の軽減は、軍事予算の削減が大国アメリカでも迫られている今だからこそ、実現可能かもしれないとお話を聞きながら思いました。

事態をきちんと見極めて判断していくことで、いつまでも占領国の延長戦上にある沖縄の現状を好転させることができる。政府は知恵を働かせてほしいというお話には、希望を感じました。

国家財政の悪化の中でアメリカでも迫られる軍事費削減

アメリカは、これまで莫大な軍事費をかけながら「世界の警察官」をしてきましたが、財政状況が良くない中で、コスト削減を迫られています。

そして、カネと人(米兵)を使わずに友好国のカネと人(兵士)を使って「世界の警察官」を続けていきたい。と考え、地域の安全は、地域でという考えに転換し、ドイツでの兵士削減と、韓国での兵士の削減を手がけてきたということです。

そしてこの流れは日本での軍体制の見直しにもつながっているということです。
アメリカ上院議員らが、今後どうなるかもわからない中で、巨額のコストがかかるグアム移転には賛成できないと言い始め、これまでパッケージとアメリカ自らが主張してきた、普天間基地移設、在沖縄海兵隊のグアム移転、および嘉手納基地以南6施設の3つをアメリカから切り離すと言い始めたわけです。

アメリカは、中東から北東アジアまでの「不安定の弧」に対応、つまり中東や中国への対応については必要性を感じ、太平洋における軍事戦略を構想しつつも、その一方で、沖縄でのコスト削減も求められています。

沖縄における海兵隊の削減も進めば、沖縄に残る部隊編成によっては、普天間基地そのものが不要になる可能性もあるということです。

普天間移設については、辺野古での新基地建設が前提であるというこれまでの流れが、冷静に分析すれば崩れていくことになる。日本政府も知恵を使って沖縄の負担軽減をしっかり行っていくべきだ。

また嘉手納基地以南の6つの施設は、もともと返還していくことが決まっていたので、不要になった施設は返してくれと言っていっても問題はないので、どんどん返してほしいと言っていくべきだとも半田さんは、述べられていました。

財政危機の進行する日本、沖縄の基地負担が続く中で、今こそ政府は知恵をしぼれ!

アメリカ政府は、財政悪化を理由に、軍事費削減をするよう上院議員から、求められていますが、日本でも財政危機は進行している中、これまでの流れを踏襲した巨額の軍事費の支出は、当然見直す必要があるのではないでしょうか。

(グアム移転費用は、当初のアメリカの試算では、102.7億ドル、そのうち、日本が負担するのは、60.9億ドル、日本円で5000億円。

しかし、アメリカの会計検査院は、その3倍の290億ドルかかると試算しなおしています。)

アメリカは、国民の方を見て、自国の負担軽減は考えても、日本の負担軽減は考えていません。

海兵隊の人数削減についてもつじつまが合わないことだらけだ。日本政府は、海兵隊の数などごまかされないよう交渉し、沖縄県民の基地負担軽減と、日本国民のために日本の負担の軽減をうまく進めていくべきだと最期に半田さんはまとめられました。

お話を聞きながら、財政危機を機にアメリカが軍事戦略を転換し始めた今だからこそ、チャンスがある。日本政府も知恵を使って、沖縄の基地問題に対応してほしいと思いました。

それにしても、メディアも、地元沖縄の琉球新聞に掲載されているような論評が、本州には流れてこないことも問題だなと思いました。

私たち国民は、この沖縄問題についても関心をしっかり持っていくべきだし、マスコミも真実をきちんと報道してほしいなと思います。