東日本大震災から4年が経ちました。

今も復興が進まず、厳しい生活を送らなければならない人たちがいることを私たち首都圏に住む人間は特に忘れてはならないと思います。

東北の復興を願いながら、首都直下型地震はいつ来てもおかしくないと言われる中、命を守る防災に強いまちづくりを進めていきたいと強く思います。

 

被災地を訪れて

私は、石巻市や仙台市を訪れ、被災地を歩いてきました。

落選後、地域で活動する中、防災問題を勉強しながら、何とか命を守るまちづくりを進めたいと思ったからです。

私は、結婚してすぐ、仙台市に転居し、英会話講師として働いていました。
石巻市の手前にある、矢本のお教室でも教えていましたので、仙石線は、毎週通ったなじみの線でした。

仙石線沿線を石巻までずっとたどりましたが、野蒜の駅はなくなり、線路は途絶えていました。

石巻市内を歩き、助かった方からお話をお聞きしましたが、家は跡形もなくなり、お墓はむちゃくちゃになり、かろうじて残っている家は住むこともできず、復旧もままならない状況でした。
被害がいかに甚大だったか、被災された方々がいかに大変だったかを、被災者の方のお話をお聞きしながら痛感しました。

そして、仙台市に住むかつての英会話講師の同僚の友達の家やかつての家の隣人を訪れました。
震災直後、家の中はめちゃくちゃになり、被災後の生活がいかに大変だったか、見舞いながら話をききつつ、どうやってサバイバルしてきたのか、防災を考える上で何が大切か、多くを示唆してもらいました。

また、夫が歴史研究者であることもあり、研究者グループとの連携もし、歴史という視点からも災害や津波についての情報収集や視察もしました。

また広島市安佐南区の被災地も訪れましたが、学ばせていただくことがたくさんありました。

命を守る分かれ目は?

津波で生き残った人たちのお話を聞くと、もちろん運のよさもありますが、法則性も見いだせます。

一つには、自宅の建てている場所が安全な場所がどうかということです。
浪分神社という津波に警鐘を鳴らす意味で建てられた神社や、ここより下に家を建てるなという石碑の存在が注目されましたが、先人たちが、子孫に対し、気をつけなさいと警鐘を鳴らす言い伝えを生かしてまちづくりをしている地域では、住民が助かっています。

またとにかく逃げなさいということが徹底されているところでは助かっています。

東北には「津波てんでんこ」いう言い伝えがあり、とかく津波の時には取る物もとりあえず、肉親のこともかまわず逃げなさいという言い伝えがあるそうです。

これは助けないということではなく、家族を探しに行っているうちに逃げ遅れるので、家族の無事を信じてまず逃げる。
自分が助からなければ家族とも会えないということで、一族を守る知恵として語り継がれているそうです。

夫が、東北の被災地での資料保存のボランティアをやっていた時に、この言い伝えの通り、行動し、ともに助かったご夫婦の話を聞いてきて教えてくれたのですが、
生きるか死ぬかの時に、一人でも助かるための先人の知恵をしっかり生かし、日頃から、自力で逃げる訓練をしておくことが津波の場合は大切だと思いました。

そして、視察した石巻市では、被災者の方が、残った倉の前で、自分がどう助かったのかをお話してくださいましたが、

避難場所が小学校になっていて、小学校に逃げた人は、亡くなっており、これは絶対に高いところに逃げないとだめだと直感的に感じて、すぐそばのやまに駆け上がった人は、助かっています。

八王子空襲の時に、公園に逃げなさいと言われ、公園に逃げた友人は丸焦げになり、山に逃げた自分は助かったというお話をお聞きしたことがありますが、
いざという時、自分の動物的勘をしっかり働かせられるかも、生きるか死ぬかの分かれ目なのかなと思いました。

そういう意味では、ハザードマップを作ることは大切ですが、信じ切って避難行動が遅れると命取りになります。

防災は未然防止が大切~命と財産を守る行政運営を~

防災は未然防止の発想が大切であり、まちづくりの段階で、災害を意識して住宅を建てるなどしていかなければ、命と財産をなかなか守れないことは、昨年訪れた広島市安佐南区の被災地の現場や情報収集からも感じました。

東北では、これより下に家を建てるな、安佐南区では、これより上に家を建てるな。津波と山津波に対する先人たちの知恵です。

こうした先人の言い伝えが生きているところが、助かっています。

八王子には津波も来ないですし、安佐南区ほどの土石流の被害はないかもしれませんが、局所的な土砂災害は発生しており、開発許可の判断ミスがこれにはからんでいます。

この4月以降、八王子市は中核市に移行し、開発許認可権限が都からおりてきますが、
利権がらみで、長いものにまかれろ、声の大きい人の言われるままになるではなく、
市民の命と財産をまもる行政運営をしていくことが、必要です。

そして、首都直下型地震もいつ来てもおかしくないと言われていますが、防災を市民として日常的に考えて、日頃から、身を守り、サバイバルするためのノウハウを身につけておくことが、まさに命を守ることにもつながります。

東北の復興を願いながら、防災に強いまちづくりを八王子でも進めていきたいと思います。