障害を持っている方が、日本で普通に社会生活や仕事をしていくには、たいへんな困難があります。ご家族の方も相当苦労されています。それは今の行政サービスや教育などの環境整備、またまちづくりがまだまだとても遅れているからです。

学習会は継続的に開催されていますが、今回の会でも、障害者の方の実体験をお聞きし、本当にたいへんな苦労をされてきたことを感じました。

今回特に議論が集中したのは、学校教育のことです。
「障害を持っているがゆえに自分の住んでいる地域で学べなかった。住んでいるところに友達がいないので、とても寂しかったし、障害のない姉には友達がいるので姉がうらやましかった。」という痛切な訴えを聞きました。

学校教育のあり方は就労ともつながっており、障害者が地域で一緒に学べる環境づくりと目や耳が聞こえない人、知的障害者などに対しきちんとそれぞれが必要な特別な支援ができる体制づくりをしていくことは、きわめて重要です。しかし、具体的手法を考えると非常に大きな難問でもあります。大きな課題だけれど、一歩でも2歩でも前進させていくために、条例が後押しになればとの声がたくさん出ました。

日本は2007年国連の障害者権利条約に批准していますが、今ある障害者基本法では、単なる努力目標でしかなく、実際に障害者の権利を保障できるものではない状況です。
そして、法整備がないことから、なかなか障害者への合理的配慮をすることが、行政のやらなければならない課題としてなかなか認識されず、後回しにされてきたという状況があります。

障害者差別禁止法の早期成立を目指して障害者団体の国に対する働きかけが行われていますが、一方で地方自治体からボトムアップでやっていこうという機運も高まっています。

障害者への合理的配慮ができるようにしていくためには、当然予算を確保していくことが必要です。条例を制定できたとしても、取り組みとしては、長期的ビジョンで臨む必要があります。

今必要なのは、多くの市民の方にこうした動きがあることを知ってもらうこと。そして、障害を持っていることで、どのようなたいへんなことがあるのか、理解をしてもらうことだと思います。

そして、その上で、障害を持っても安心して暮らせるよう、障害者の権利が保障されていくよう、八王子市にも条例が制定されていくことが必要ではないでしょうか。