10月15日が本会議最終日で、長い長い9月議会が終わりました。
決算審査を通して、八王子の財政運営の課題も見えて来ました。
私は、決算審査特別委員会の意見開陳で意見を述べ、課題を指摘しました。

### 【市財政と市政運営の課題】 ###

* 最終歳出はともに増えているが、市税収入は減収となり、初めて臨時財政対策債を初めて借りるほどの厳しい財政運営に
* 市税収入減の時期に大型開発事業で投資的経費が大幅に増加
* 結果として返す以上に借りないの原則は会計全体では守ることができたが、一般会計では守れなかった
* 厳しい市民生活を最大限支えることが求められたが、再開発事業による投資的経費に回わり、求める福祉・教育予算が抑制された
* 施設の40%が築30年以上になっている。市民会館取得のための費用が莫大だった・・・人口減少社会を見据え、今後は一定の期間や将来につけをまわさないよう施設整備の計画性が必要 
* 雇用維持、拡大、保育所整備など次世代育成のための環境整備が十分でない
* 教育予算の少なさは区部に比べ、際だっており、基準財政需要額で見ると多摩地域で見ても少ない
* デリバリ方式の中学校給食が喫食率の低下・・・加住小中一貫校で取り組んでいる親子給食と食育の充実が必要
* 働きながら子育てできる環境整備を進めることは若い世代の支援というだけでなく、持続可能な福祉という視点からも重要課題であり、さらなる取り組みが必要

### 市税収入は大幅減・・・厳しい財政運営が浮き彫りに ###

景気後退の影響を受け、市税収入が5年ぶりに大幅に減収となり、減収を補うために臨時財政対策債41億円を初めて借り入れることになりました。会計全体では、返す以上に借りないの原則を貫くことができましたが、一般会計の現債額は、23億円増加になりました。このことは厳しい財政運営を物語っています。

### 市民生活が厳しく、市の財政難の中、投資的経費が増大 ###

市民生活も経済状況は厳しく、市としては最大限、市民生活を支援することが求められています。
ところが扶助費は前年度より5.3%の約41億円6千万円の増額に比べ、投資的経費は前年度に比べ、大幅増の77.3%143億円の増加になっています。
その理由としては八王子駅南口地区市街地再開発事業、新市民会館整備による増額が大きく影響をしています。景気後退の影響で市税収入が大きく減収になり、財政状況が厳しくなる中での大型開発事業は、市民が求める教育福祉予算を抑制することになり、財政運営をさらに厳しいものにしています。

### 施設整備のあり方にも計画性を持つことが必要 ###

市民会館取得には莫大な費用がかかりました。
南口再開発事業の実施により投資的経費が増えたことに加え、本庁舎の改修にも50億もの費用がかかり、短い期間に投資的経費が増大したことと景気の悪化が重なり本市の財政運営に重くのしかかりました。

今後は、人口減少社会を迎える中、経済の右肩上がりの時代は終わり、現状維持もしくは縮小もあるという覚悟をした中、市税収入の推移も予測し、施設の設置や維持や更新のあり方も考えていく必要があります。

本市の施設の40%以上が築30年以上を経過している現状があります。

施設の設置については、全市的なまちづくりとしての位置付けや展望を持つことが必要であり、施設白書の作成などで、施設の更新をいかにしていくのかを長期的展望に立って計画を考え、一定の期間や将来に重い負担を残すことがないようにしなければならないと思います。

### 厳しい若者の雇用・・・若者が夢と希望を持てる社会に ###

若者の雇用環境は厳しく、4年生の大学を卒業した学生の6割しか就職ができない社会環境の中で、全国的には就職も進学もしなかった若者が8万7千人にものぼり、若者たちの将来に対する夢と希望を奪っている状況があります。
子どもを生むことができる世代の人口そのものが少ない中、さらに雇用環境の悪化により、結婚して子どもを生み育てる展望が抱けない人たちが増え、急速な少子高齢化が進んでいる現状があります。

孫子の時代まで安心して暮らしていけるようにするためには、雇用の維持拡大、保育所や学童の整備など働きながら安心して子育てできる環境整備など次の世代を育むための施策の展開の充実が求められています。

### 保育園待機児解消の課題 ###

待機児解消策として認可保育所の設置と認証保育所の設置は4対1の割合で行っています。しかし、所得の低い人に負担が重くなる認証保育所については、利用者負担軽減措置がさらに必要です。

### 将来を担う子どもたちへの教育予算が少なすぎる! ###

しかしながら本市の将来を担う子どもたちへの教育予算を見た場合、決して十分ではありません。
学校配当予算の増額を求めてきますが、学校では涙ぐましい努力をしている現状です。23区では各教師が指導書をそれぞれ持つことができているにも関わらず、本市では、学年に1冊しかないという話も聞きました。今後若手教員が急増する中で、きちんと授業の力を高めて、指導力を充実していくためには、指導書の支給はかかせないことだと思います。学校配当予算の増額が必要だと思います。

### ボランティアに頼るのはもう限界・・・人に対する予算配置を ###

また、本市では、人的な配置に対する学校予算が十分ではありません。
アシスタントティーチャーを希望する学校に配置仕切れていない状況であり、さらに特別支援サポーターについては学校の予算要求の6割しか対応できていない状況です。また本市には、区部には配置されていて教員の授業の資料の準備までもやってくれる学校図書館司書がいないのが現状です。

八王子の教育予算は余りにも貧しいことは、基準財政需要額から見て八王子の数字は低すぎることを見ても明らかです。一生懸命ボランティアで学校に関わってくれている市民もたくさんいます。しかし、あまりにも責任が重いことをボランティアでやっていくのには、限界があります。お金がないから我慢するのは、仕方がないというのではなく、将来を担う子どもたちをしっかりと育ててゆくことができるよう、少なくとも区部が行っている基本的な人の配置が本市でもきちんとできるよう、予算を確保することが重要です。

### 中学校給食は加住小中一貫校で取り組んでいるような親子方式を ###

デリバリ方式での中学校給食の喫食率の低下が課題です。加住小中一貫校での親子給食のように、親子給食の展開と食育の充実が必要です。

### 厳しい財政状況だからこそ安心して子どもを生み育てられる環境を ###

次世代を担う子どもたちへの教育予算の確保は本市の重要課題です。
厳しい財政状況だからこそ、安心して子どもを生み育てられる環境、豊かな子どもたちの育ちを応援する施策をさらに充実させていく必要があります。

こうした視点を指摘し、改善を求めました。