2月18日、若尾きみえと生き生き市民会議では、防災講座を開催しました。

「命と財産を守るために 自宅の耐震性は大丈夫?~住宅の耐震性確保に向けて・敷地の擁壁調査のやり方など~」と題し、土木関係の専門家の木川欣一さんを講師にお話をお聞きしました。

質疑応答をやりながら


八王子の地層から始まり、地震と地層の関係、土地の造成の仕方や、敷地の耐震性の問題を取り上げたお話は、参加者からとても興味深い話で、参考になることがたくさんあって良かったという感想を頂きました。

地震などの災害発生後、行政が迅速に対応していけるよう体制づくりをしていくことは、たいへん重要な課題ですが、それ以前に、いかに被害を減らすことができるのかという視点を持ち、対策を取っていくことが、今後はさらに重要になってきます。

今回取り上げた住宅の敷地の問題については、まさに行政が触りたくない問題だと思います。
(市の防災課や建築指導課のヒアリングもしましたが、うっかり手がつけられない問題だと認識していることを痛感しました。)
たいへん難しい問題ではありますが、でも市民の生命と財産を守るためには、重要な視点です。

今ある住宅の敷地に対しては・・・

住宅の建物の耐震性確保に向けて、市は、耐震診断と耐震工事に対し、補助金制度を設け、政策的な取り組みをしています。

しかし、建物を支える土台となる敷地の耐震化については、行政は公式には、課題は認識をしていないというのが現状であり、耐震化に向けた市の助成制度や情報発信はありません。(潜在的な問題としては認識していると思います。)

現段階では、自宅の敷地の耐震化については、自分で知識を持ち、自衛策を講じるしかないというのが、実情です。そこで今回の講座開催の運びとなりました。

八王子市でも、谷戸を埋めた住宅地で、年数が経ち、地盤沈下が起きたことによって、敷地が崩落し、建物が傾いてしまった住宅地域もあります。(谷や沢や沼を埋め立てて造成した宅地は結構八王子にはあります。)

地震という大きな力が加われば、脆弱な土地に立っている住宅や、敷地の擁壁工事で、手抜き工事をしている場合、大きな被害が発生する可能性もあるということです。

すでに建っている住宅の敷地で耐震性に問題があるとわかった場合でも、擁壁の補強や地盤改良で、住みながら敷地の耐震化を図ることは技術的に可能だということです。

お金がかかる問題ではありますが、崩れて大きな被害に遭遇するよりは、未然に対策を取ることで被害が軽減できれば、やはりそれに超したことはありません。
この問題については、すでに関心を持って情報収集をしている方もいますが、多くの方は、知らないことだらけだと思います。

宅地の地歴や地盤の状態、擁壁工事のあり方をチェックすることがまず大切

知っているのか、知らないのかで大きく変わってきます。
もともとの地形や盛り土か切り土かなど造成方法など宅地の地歴を知るとがまず、大切です。
そして、擁壁がある場合、手抜き工事はされていないのか、擁壁は劣化していないのか、実態を把握し、問題があれば、早めに手を打つことが必要です。
この敷地の耐震化の問題については、やっぱり多くの方に知って頂くことが大切だなと思いました。

敷地の耐震化に向け、行政の政策的な取り組みも今後の課題!

個人資産であっても、住宅の上物の建物については、市は耐震診断と耐震工事に補助金制度を設け、対応策を市民に提案し、情報発信もしているわけです。

今後は、少なくとも市として、この敷地の耐震化についても情報発信はぜひしてほしいなと思います。
そして、明らかに崩落の危険性が高い地域で、崩れれば大きな被害を本人にも周りにも及ぼすことがわかっているにも関わらず、お金がなくてできないというケースについては、少なくとも低金利での融資制度を設けて工事をしやすい環境を整備をしていくことも一つの方策ではないかと思います。

今後建てる住宅については・・・?

また、今後建てられる住宅については、地震災害の軽減という視点から、行政が一定の物差しを持って、危険地域での開発規制をしたり、住宅建設時における地耐力の確認など行っていくことも必要だと感じました。

ちなみに川町の土砂災害では、地元の人は、「あのような湧水のわき出る場所に宅地開発をするのは、絶対に止めた方がいい。」と話していたのに開発がされ、土砂災害が起きたということです。これに対し、開発許可を出した東京都は、1億円の予算を出して復旧工事を行いました。

こんなに税金を投入して復旧作業をするのであれば、本来、開発許可を出すべきではなかった。そもそもの開発規制をするべきだということだと思います。

市民、消費者としては、宅地を購入する際には、過去の地歴についてしっかりと情報収集をして買うことが必要です。

そして、地盤が軟弱なところに家を建てなければならない場合には、お金をかけて、地盤改良を行い、建物の基礎部分への安全対策に十分対策を取ることが欠かせないということです。