東日本大震災から2年が経ちました。
死者は1万5881人、行方不明者はいまも2668人。
そして、被災地では、なかなか復興が進まず、仮設住宅などで約31万人が避難生活を続けていると言われています。
阪神淡路大震災の時と違って、今回の震災被害は、地震による被害に津波被害も広がり、しかも原発事故による放射能汚染も加わっています。そして、人口減少や高齢化、経済の停滞など社会構造が変化している中で、復興の道筋もなかなか見えてこない自治体が多くあるようです。
2年も経つと、東北から離れた首都圏では、すっかり日常が戻ってきて、穏やかな日々の中で、今も困難な生活を強いられている人たちがいるのを忘れがちです。
日本社会が積み残してきた課題が復興支援の中で露呈
しかし、被災地では、日本社会が積み残してきた課題が露呈しているとも言われています。
日本の行政は、中央集権で縦割りだと言われてきました。
制度が一律で、地方や地域の実情に合った柔軟な対応ができにくい。
補助金制度一つとっても、地方の実情に応じた制度でない部分のものもあり、一律の制度は結局、無駄なことに税金を使い、使いたい部分に税金を使えないという悩みを地方自治体はこれまでも抱えてきました。
平時でもこうした行政課題がまちづくりの足をひっぱており、改革が求められていますが、
すべてが津波で流されてしまった地域の復興支援ともなると
なおさら、平時のルールにとらわれた対応しかできなければ、現場は、疲弊するだけで、復興は進んでいきません。
防災のまちづくりは、コミュニティの再生から
八王子でも震災を機に、防災のまちづくりを進める機運が高まっています。
こうした中、地域コミュニティの重要性と地域再生の必要性を再認識したという声があちらこちらで聞かれます。
私も、地域での防災への取り組みを考え、みなさんといっしょに進める中で、失われてしまった地域のコミュニティを、防災の問題を考える中で、再生していくことができればいいなと感じています。
復興問題は、人ごとにしない
2年が経った今、この復興問題に改めて関心を持ち、課題を共有することは、これからの日本の社会の未来を考える大きな糧になるはずです。
復興問題は、人ごとではなく、自分たちの問題として考えながら、支援できることは支援し、そして、制度を考えたり、地域でのまちづくりに生かしていくことが、本当に大切だと思います。
忘れてはならない。福島での原発事故
放射能汚染が福島の復興を阻んでいることも事実です。
政権が交代し、安倍内閣では、原発再稼働をしていく方針です。
収束とはほど遠い福島原発の現状
しかし、福島原発の炉心溶融となった1号基から3号基は、水をかけて冷やし続けなければならない状況であり、水をかけれて現在炉心の冷却は保てますが、増え続ける汚染水はどうするのか。見通しが付かない状況だと言われています。
また、京都大学の原子炉実験所の小出裕章さんによれば、4号基がもっとも危険な状態にある。4号基の壊れた建屋では、使用済み核燃料がプールの中で宙づり状態になっているが、余震が続く中で、万が一大きな地震が来て、プールが壊れ、水がなくなれば、使用済み燃料が空気に触れて、反応が止められなくなり、首都圏もだめになるような放射能汚染になるということです。
原発作業員の大量被爆の実態
試験的に使用済み燃料を保管する作業が進められているようですが、現場では、放射線の大量被曝を受けながら、作業員が作業を進めています。
また、原発作業員は、元請けから被曝量のごまかしをされたり、作業員自身も、貧困の中で、働く場を確保するために被曝量をごまかしながら、まさに命を削って、仕事をしている状況があり、極めて非人間的な状況が進行しています。
現実を把握できていない政治家の甘い認識
しかし、このような深刻な状況があるにもかかわらず、政治に携わる人間の中には、事態を余りにも軽く受け止めている人がいることも事実です。
自民党本部で、2月15日に開かれた、原発のある同県の議長会を招いた調査会では、「原発の早期再稼働を」の声があがり、福島県の斎藤賢治議長は、「これ以上一緒に議論はできない」と途中で席を立ったということです。(かつて斎藤氏は原発推進派だったそうです。)
「『原発は必要』という人ほど事故後の福島を見に来ない。会合の場でも言ったよ。自分で3号基の前に立ってみろよって。そうしたら再稼働なんて簡単に言えなくなる。」と斎藤氏は述べています。(2013年3月11日朝日新聞社説引用)
忘れてはいけない原発問題
まさに、原発事故の中で、多くの住民が放射能汚染のために帰還できない状況があり、住み続けている人たちも、放射能汚染の恐怖をつねに感じている。そして、原発の現場では、大量被爆の危険の中で作業員が作業をしている。
そして、万が一の大きな地震が起きれば、住むことができなくなるような放射能汚染は、首都圏に住む私たちの身にも降りかかってくる福島原発の状況がある。
こんな事態が今もなお続いていることを、私たちは、決して忘れてはならないと思います。
そして、政治に携わる人間はなおのことです。
復興問題は、人ごとではなく、自分たちの問題として考え、日本の未来をどう創っていくのか、みなさんと一緒に考えていきたいと思いを新たにしました。