伊藤さんのお話では、
憲法9条の改正だけでなく、自民党案では、憲法が保障してきた国民主権を制限する内容も盛り込まれているということです。
個人よりも、国が大切 国を縛る憲法から 国が国民を縛る憲法に
国民の権利を保障し、国家権力に対して、しばりをかける憲法が、自民党案では、権力を持っている人が、国民に対して、あれをしてはいけない、これをしてはいけないという内容になっています。
「家族は互いに助け合わなければならない」という条項も盛り込まれています。
極論すれば助け合わない家族は、憲法違反ということに今後はなる可能性だってあります。
家族が助け合うという価値観は、個人がそう考えて実践すればいいわけで、
国家権力が介入する問題ではないと思います。
むしろそのことを憲法にうたうなんていうのは、
そもそも、憲法というのは、主権者の私たち国民が、権力を行使する人たちに対して、やってはいけないことや尊重すべきことを定めるものです。
権力を持っている人が、国民に対し、こうしなければならないというのは、
近代の立憲主義の基本を否定することになります。
そして、民主主義にとって何より重要な言論・表現・結社・集会などの自由も「公益及び公の秩序」を全面に出し、制限する内容になっています。
また、さらに、超危険な制度、「緊急事態制度」も憲法に盛り込む内容にもなっています。
緊急事態制度というのは、戒厳令と同じです。
この制度があると、「外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震災害等による大規模な自然災害」などが起こったとき、緊急事態宣言のもと、内閣行政機関が、法律と同じ効力を持つ命令を、国会を通さずに出せることになります。
震災などの事態を想定していると自民党は言っていますが、この緊急事態制度を使えば、戦争をしかけるのも、国民の財産を取り上げるのも、戦争に私たちを動員するのも内閣の思い通りにできることになります。
96条から手をつける
憲法96条では、憲法改正の手続きを定めています。
憲法は、国会議員の3分の2以上が賛成し、国民投票で多数になれなければ変えられませんが、安部内閣では、改正して、過半数に緩めることをめざしています。
憲法改正は、国民生活を大きく変えるだけに、安易な改正は行われるべきではないと思います。
環境権などの保障をすべきで、憲法に盛り込むべきという議論をする人がいますが、頭が冷静な時に、国を支える理念をしっかりじっくり考え、議論し、3分の2以上の賛同を得て、進めればいい話です。
私は、以前、ドイツへの視察で、平和や憲法教育がしっかりと行われているドイツと、憲法教育が十分行われてこなかった日本の違いを痛切に感じましたが、憲法のことをしっかりと知らないで、改正を考えることはとても危険だと思います。
今日は、憲法記念日。
朝日新聞の世論調査では、9条の改正に反対が54%で、賛成は38%ということです。
ぜひ憲法のこと、皆さんと一緒に考えながら、平和を大切にし、
国民の命と生活を大切にする民主主義の国をつくっていきたいなと思います。