昨日は、年金をテーマに若尾きみえと生き生き市民会議で第6回のまちづくり市民講座を開催しました。
「年金のこと、老後の生活のこと一緒に考えてみませんか!? ~老後に必要な生活費と自分がもらえる年金の額は?~」
講師は、ファイナンシャルプラナーであり、株式会社チョイスの代表取締役の井上英樹さんです。
参加者には、これから年金をもらう50代の方だけでなく、現在すでに年金をもらっていらっしゃる方からももご参加頂きました。
これから年金をもらう方からは、年金制度の概要や自分のもらえる年金の把握の仕方など参考になったという声を頂きました。
また一方、すでに年金をもらっている方からは、自分が亡くなった後、妻にはどれくらいの遺族年金が行くのかというご質問がありました。また物価スライド制の中で、これまで引き下げが据え置きされてきた年金額の引き下げが今後どうなっているのかというご質問もあり、年金の減額については、ご関心も高かったようです。ご参加者頂いた方からは、こうした疑問が解消できて良かったというご感想を頂きました。ありがとうございました。
公的年金制度をどう考える?
老後の生活を支える意味で、年金はとても重要です。しかし、老後の必要生活資金と公的年金の額を見ると、必ずしも必要金額を満たしているとは言えない場合が多いようです。調査によると、60才以上の世帯で、老後の必要生活資金は月額27万円、さらにゆとりある老後を過ごすには約37万円必要という結果も出ています。
公的年金はどれくらいもらえるのかを把握した上で、足りない部分は、貯金、退職金といったものでまかなえるよう、自助努力で、準備をしておくことが老後の生活の安心を得るためには大切です。
今回の講座では、年金制度のしくみをお話して頂き、遺族年金や離婚した時の年金分割などの制度についてもご紹介頂きました。
女性の少年金の実態が兼ねてから問題視されてきましたが、離婚した後老後の年金が妻にももらえるような制度変更が行われました。これにより、妻の生活保障部分については、前進したと思います。
平成19年4月以降に成立した離婚を対象に、配偶者の合意の元、2年以内に申請すれば、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録の合計の半分が限度として妻に分割される制度ができました。この制度だと男性は離婚すればするほど妻に分割することで貧乏になり、自分の老後の生活を苦しくしていくことになります。十分制度を知っておかないとたいへんですね。男性は。
公的年金制度のメリットは?
急速に進む少子高齢化の中、年金制度そのものが大きくゆらぎ始めています。年金の受給者数は前年度に比べ、3703万人で、3.1%増える一方、加入者は0.9%減の6874万人に減っています。現在は、現役1.8人で受給者1人を支える構図で、制度の存続は非常に危機的な状況になってきています。
自営業の方は、国民年金制度しかありませんが、この国民年金だと満額もらっても786,500円です。多くの方はもらえる金額が少ないとは思いつつ、きちんと保険料を払っていらっしゃると思いますが、中には、どうせ国民年金の保険料を支払ったところで、もらえる金額はわずかなのだから、支払わないという方がいます。たしかに厚生年金や共済年金でもらえる金額に比べると少ないと思います。しかし、この公的年金制度は、金額はたとえ少なくても、死ぬまで一生もらえるというメリットがあります。
もらえる金額が少ないからと保険料を支払わないことは、制度そのものの崩壊を後押しするとともに、万が一、自助努力で、老後の生活資金の調達がうまくいかなければ、生活苦に陥るか、生活保護という選択にもなってきます。みんながこういう選択をすれば生活保護制度自体も維持が難しくなってきます。
やはりセイフティーネットは何重にも機能できる体制をきちんと取っていく方が、個人としても行政としても安心だと思います。
年金制度の課題
ほとんど年金がもらえない高齢者の方がいますが、現在の年金制度は、過去の未納部分に対し、さかのぼって納められない制度です。年金のもらえる金額の計算は、支払った年数が係数になるので、さかのぼって支払えない制度には、課題があると思います。
(ただし、後納制度が時限立法で制定されたので、国民年金保険料について、平成24年10月から平成27年9月までの3年間に限り、過去10年分まで納めることができるます)。
公的年金制度の維持のためには、現行の保険料納付ではなく、絶対払わなければならない保険税にして、滞納があったら、きちんと払ってもらうようにする。そして、滞納を理由に、年金がもらえなくなるようなことが起きないようにした方がいいのではないかと思います。
政府は、支える層が縮減していく基礎年金に対し、財源確保のために、税金の投入を3分の1から2分の1に引き上げていますが、今後急速に少子化が進めば、制度そのものが揺らぎかねない状況です。
公的年金制度をいかに維持し、そして、自分の生活を自分で守るための自助努力をしていくのかがまさに問われています。自分の生活の関わることに対してきちんと知識を持っておくことは、とても大切だと思います。
そして、老後の生活の安心を支えていくためにも、子育て支援、若者支援は欠かせない政策だと年金問題について学ぶ中で、改めて痛感しました。