5月30日、八王子まち創造塾オープンセミナーを開催しました。
スピーカーは、八王子初の新規就農者、株式会社FIOの代表取締役である舩木翔平さん。
26歳のエネルギッシュな若者が、今までの農業の枠を超えて新しい農業のスタイルを創っていきたいと、農業の課題と未来を熱く語ってくれました。
参加者には、自ら趣味で畑を借りて野菜づくりをしている方、新しい工業技術を使って農産物の生産を企業で進めている方、茨城で農地を借りてNPO法人として農業を始めた方、舩木さんたちに畑を貸している鈴木牧場の鈴木さんなど多様なメンバーのご参加もあり、意見交換の場も盛り上がりました。
新規参入を拒む農地法がどう変わった?
舩木さんからは、農業を取り巻く法律についてのご説明がありました。
農地法、農業経営基盤強化促進法、都市計画法、相続税法、生産緑地法があり、かなり複雑ですが、これまでは、農地法の縛りが強くて、農家の家系でなければ、新たに農業をすることが難しかった状況があり、新規就農者の参入に壁があったこと。
その後、農地法が少し緩められて、借りられるようになったということですが、それでも農地法だと農業委員会への申請など手続きが大変。そこで舩木さんたちは、借りる手続きが簡素化された「農業経営基盤強化促進法」の下で、農地を借りて農業を行っているということでした。
株式会社FIOとは?
舩木さんたち若者が集うFIOは、
農産物販売・・・農産物の生産、直売所・マルシェでの販売、野菜の宅配、
イベント医・教育・・・農業体験・イベント、農業アカデミー
体験農園・・・シェア農園、オーナー畑
こうした事業展開をされているそうです。
小松菜などの農産物は、京王八王子駅のバーゼルで販売したり、堀之内の畑そばの直売所での販売をしたりされているそうですが、
小比企で生産したはちみつを結婚式の引き出物として販売したり、ひまわりオイルなど付加価値のあるものも生産販売しているそうです。
都市農業の現状は?
大規模農家・・・2ヘクタール以上の農地 スーパー、学校給食、生協の大口に出荷ができる 農業環境→農業用施設や機械など十分ある 後継者がいる場合が多い。
中規模農家・・・兼業農家 道の駅や直売所に出荷 跡継ぎはいる場合もあるしいない場合も。収入は厳しい 農業環境不十分
小規模農家・・・兼業農家 0.5ヘクタール以下 老後の収入程度
八王子市の野菜直売所はどれくらいある?
JA直売所 15所
農家直売所 51カ所 合計66カ所
農産物は、日常的に消費するもので、出せば売れていく。消費者の人は求めているという印象を持っているとのお話です。
ただし、農産物は年中生産できるものではなく、出荷できる時期というのは限られているので、収入にも波があったり、同じ時期に同じものが出ると価格も下がってしまうという生産側の悩みもあるそうです。
減少する農地を維持していくには?
私が以前住んでいた散田町でも相続に伴い農地が宅地化され、地域の人たちが、残念がっていました。
こうした相続に伴う農地の減少に歯止めがかけられないのかという思いがありますが、舩木さんたちが、借りられるのは市街化調整区域の農地であり、現在のところは市街化区域の畑については、手が出せない状況だとのお話でした。
しかし、都市部だと農業がおしゃれという感じで、人気が出ているとのこと。国立市でも空き家のリフォームをして、生産した農産物をレストランで調理師食べてもらうという一連の流れや取り組みが進んでいるそうです。
市街化区域での農地の減少を防ぐためには、相続税とのからみもあり、市街化区域での農地の集約化は難しいとの舩木さんのお話でした。
一方で、農業を生かしたまちづくりを進めることでその農地の維持の可能性も出てくるのではとのこと。
たとえば、農産物を生産し、それを地域のレストランやカフェで出していく。生産、製造、販売をつないで農業の付加価値を出していき、農業を生き残らせていく。
食を通じてコミュニティづくりをしていき、地域に点在する農地に小屋を作ったりしてまちの潤いにしていくという新しい構想をぜひ進めていきたい。
農業でまちを活性化していきたいというお話でした。
このお話を聞いて、農業はダメになる一方かなと思っていたけど、何だかわくわくしたとの参加者のコメントがたくさんありました。
点在する農地がどんどん相続税のために、減少していく現状には何とか歯止めをかける法整備が私は必要だと考えていますが、別の取り組みとして、
今ある農地をみんなで活用し、維持をみんなで支えるしくみづくりや、空き地を耕して農地にしてしまう逆の発想もいいのではないかなと思います。
問題が山積する現代社会、八王子のまちもそうですが、若者の既存の考えにとらわれない発想とエネルギーはぜひ八王子のまちづくりにも生かしていきたいですね。
みんなで応援していきたいねという参加者のお声をたくさん頂きました。