先日、八王子市地域腎友会が主催する透析サロンに参加しました。

以前にも、腎友会のサロンに参加させて頂いて、透析患者の方の生活課題について勉強する機会がありましたが、今回のサロンは前回とは違った発見があり、非常に勉強になりました。

腎友会の方は、透析が必要になった方に、元気に生きていくための情報提供や悩みの解決相談などの活動を行っているということです。

一方で、透析を受ける生活がいかに大変か知ってもらい、自分たちを悪い見本として、病気にならないようにしてほしいとの趣旨から、いろんな病気の入り口になる糖尿病予防の発信も力を入れているそうです。

八王子市腎友会 透析サロン 

今回の透析サロンでは、低カリウムレタスの紹介ありました。

実は、腎友会の方に私が、情報として持っていた富士通が開発した低カリウムレタスの話をしたところ、「腎透析を受けている患者は、カリウムの高い生の野菜は食べることができない。こういう野菜を待っていた。低カリウムレタスの話をぜひ聞いてみたい。」というお話でした。

そこで間に入ってお話をつなぎしたところ、透析サロンで、富士通ホーム&オフィスサービス(株)先端農業事業部企画部部長「野牧宏治氏」企画開発者の野牧宏治さんにお話をしていただく運びとなりました。

低カリウムレタス 講演会 風景

富士通では、会津若松工場の半導体の生産工場を使った低カリウムレタスを開発したということで、私も、東京ビッグサイトでの展示を見てきましたが、その野菜が最近テレビの番組でもひんぱんに取り上げられ、話題になっていました。しかし、正直、この野菜をどのように評価していいのか。判断がつかないでいました。

東京ビッグサイトでの低カリウムレタスの展示

というのも、通常健康な人は、カリウムは大切な栄養素であり、カリウムを減らした野菜はそれほどいい野菜だとは思えなかったからです。

また、吉田俊道さんの農業の実践の話を聞きましたが、微生物がたくさんある土地で微生物の力をもらった元気野菜を食べた方が、人間も元気になれると確信したばかりで、そういう農業こそ必要なのではと思っていたからです。

しかし、今回、腎友会の方のお話をお聞きし、また透析サロンでの野牧さんのお話をお聞きして、改めて、腎透析患者の方のニーズを認識し、同時に低カリウムレタスの有用性についてもはっきり認識できました。

腎透析患者の方は、果物や生野菜、芋、豆などカリウムの多いものを食べると、心臓が止まってしまい、あっという間に亡くなってしまう危険性をいつも抱えているそうです。

カリウムの多いやきいもを2本食べて亡くなった方もいらっしゃるということです。

キュウリも、レタスも生野菜はカリウム分が多く、必ず茹でてでないと食べられないそうです。

カリウムの摂取制限を日々行わなければ命に関わるので、切実な問題ということですが、そのことで強いストレスを感じている方も多いそうです。

富士通の開発した低カリウムレタスは、カリウムの量が通常の5分の1。半導体の生産工場を転用し、人工光型の菌を管理したクリーンルームで栽培、液体肥料が自動供給され、成分が一定の野菜ができるそうです。

日本では、取りすぎると体に毒になる硝酸体窒素の含有量は、水では制限されていますが、野菜では、農家に任されていて制限されていません。諸外国では、硝酸体窒素の制限があります。

この低カリウムレタスでは、硝酸体窒素の量も少なく、えぐみがないということです。

また細菌管理が徹底しているので、2週間経過したレタスでも開封しなければしゃきしゃき食べられるそうです。

私も食べてみましたが、しゃきしゃきしておいしかったです。

東京ビッグサイトでの低カリウムレタスの展示

透析患者の方にまさに朗報のこの低カリウムレタスの話を聞き、透析患者の方からは、早く八王子でも販売しできるようにしてほしい。もっと安価な値段で販売してほしい。もっといろんな野菜を作ってほしいなど期待を込めた要望がたくさん講師の野牧さんのところに寄せられました。

通常の農業では、一定の低カリウムを含んだ野菜を栽培することは難しく、富士通の工場生産のような野菜づくりだからこそ実現できたのだと思います。

これからも透析患者の方の生活を守り、食べる喜びを実現できるような農産物の栽培はぜひ進めてほしいと思いました。