他の自治体の観光振興策と八王子の取組の違い

私は、岡山県の郡部の田舎育ちですが、社会人になってから、岡山市、その後、結婚して仙台市、また夫の仕事の赴任先である富山市にも住んだことがあります。

岡山市や仙台市、富山市ともに県庁所在地であり、お城などの歴史的な資源や名勝が観光資源として生かされ、郷土料理を観光客が楽しむ。そして、地域の農産物や魚介類などを加工した特産品をお土産物として、観光客が買い、地域の人もその特産品を食べて楽しむ。そして、地域の名産品は何かと聞くとそのまちの人はすぐに誰でも答えられるというのがごく当たり前でした。

しかし、八王子市に来て、まずどんなまちなのかを知りたいと、これまでやってきた観光資源や郷土料理からまちを知るというアプローチをしようとしましたが、これが八王子では通用しませんでした。

高尾山はあるけれども、お土産物は、八王子で作られていないものばかりでびっくり。

これを高尾山のお土産物というのかとがっかりでした。

そして、八王子城跡も観光スポットとして整備されていない。

高尾山はあるけれども、その他の観光資源と言えば、どうなんだろうと首をかしげるという方は多かったと思います。

郷土料理に至っては、だれも八王子の郷土料理を一発で答えられる人がいない状況で、逆に外から来た人間の私が、いろいろ調べて、わかったものですから、八王子の郷土料理は、すいとんとかて飯です。子どもたちは学校の食育で学んでいますよ。皆さんにお話するくらいです。

八王子の観光振興はお休み状態みたいな感じだ常々感じてきました。

そして、市民も合併に次ぐ合併のまち八王子で、市民としてのアイデンティティが形成できていないと感じてきました。

でも、郷土料理も特産品も作ってしまえばいい訳です。

私は、富山県の八尾のお祭りを友人と見に行き、自分も踊りを習って踊れるようになりましたが、八尾の踊りの歴史について尋ねたところ、もともと芸者踊りだったものを、ある人が町会の踊りにして、町会ごとに踊りを競わせるというアイデアを思いつき、のちのお祭りに発展していったという説明を聞きました。

なるほど。伝統というのは、作っていけばいいのだ!その時そう思った訳です。

その後、市議として、平成22年の議会で、高尾山のお土産物のプロデュースに関与する提案をしましたが、当時はまだまだ市は消極的で、特産品があったらいいが、市の関与は難しいとの答弁でした。

その後八王子城跡の観光資源としての活用に向けた整備など少しずつは進められてきましたが、

観光施策の面的な取組の推進にまでは至りませんでした。

農業や自然、文化・歴史を生かした環境観光都市・八王子構想を提案

その後、私は市議三期目の議会活動では、農地が相続で宅地化してどんどん農地が減少していく状況に対し、何とか農地を守り、農業を重要な産業として位置づけたい。

そのためには、農産物を付加価値を付けて売ることが、農業の維持発展に重要と考え、さらに農地までも観光資源に位置づけてしまえば、温泉と同じように、市も事業者も保全の努力をせざるを得ないと考えました。

そして、農業や自然、文化歴史など本市の資源を生かした環境観光都市・八王子を構想を市に提案し、その取組を求めて来ました。

これまで観光振興が苦手な八王子市でしたが、都の産業交流センターである東京たま未来メッセが開設となり、八王子駅南口の医療刑務所跡につどいの拠点整備事業を実施し、公園、歴史ミュージアム、カフェライブラリーを一体的に整備するサードプレイスをつくることとなり、その後、市は国が推進しているMICE事業の取組をしていく方針を打ち出し、ようやく観光振興策の底上げをしていく動きが急速化しました。

12月議会では、私は、MICE事業で八王子市が選んでもらえるには、観光振興策の底上げが必要ではないかとして、食の魅力など、地域資源の発掘と魅力発信についても取組を求めました。

そして、2023年度予算では、地域資源の発掘と磨き上げ、食の魅力発信に向けた予算が盛り込まれることになりました。

ようやく、他の自治体で当たり前にやってきたことが八王子市でも取組が進んでいくことになると思います。

住んでいる市民が自分の自治体の紹介ができないのは、自己紹介ができないのと同じです。

自分って何だろう。八王子って何だろう。

なんだかもやもやしてしまいます。自信が持てない感じで、残念ですよね。

これからは、市民も訪れる人も、喜んでもらえるような取組になればと思います。

そして、八王子に人・物・お金の好循環をつくることができらばと思います。

農業の6次産業化と観光振興を

八王子で作られたはちみつがお土産になっています。

ブルーベリーやパッションフルーツなど果物系は農業の6次産業化が進んでいると思いますが、もっともっと特産品をつくっていけば、市民も訪れる人も楽しいと思います。

市には、今後、農業の6次産業化と観光振興を抱き合わせて進め、市民も訪れる人も豊かさを感じてもらえる八王子にし、お金、物、人の好循環を生んでいけるよう取組を期待します。また、産業イノベーションに向け、理念が条例と計画として謳われ、推進体制が取られていることは高く評価します。

このように、予算の討論の中で、述べましたが、

食の地産地消の後押しにもなる、農業や自然、文化・歴史を生かした環境観光都市・八王子構想、これからもしっかりと推進に向け、発信していきたいと思います。