石森市長は、多摩のリーディングシティをめざすこと、また中核市構想を公約として打ち出し、今回の市長選挙に当選しました。
そして、さっそく、石森市政では、中核市への移行準備を開始し、その構想についても、今年6月15日の広報にて、市民に対してお知らせしました。
しかし、こうした中核市への移行については、実は、黒須市政の中で、中核市への移行を検討したものの、断念をしています。
そして、その最大の理由は、たとえ中核市に移行し、自治体の権限が拡大したとしても、財源の確保ができないという大きな壁にぶつかったということです。
前回の検討結果、中核市構想を断念した八王子が、今なぜここに来て新たに中核市構想を打ち出したのか、前回と状況が変わったというのなら何が違うのか、
そして、中核市に移行することで、市民サービスは、果たして向上するのか。
財源問題の壁は、どうなったのか。
こうした疑問が次々とわいてきます。
先日傍聴してきた八王子市議会の総務企画委員会で、この中核市移行について報告事項として上がってきましたが、その時の質疑でも、ぜひ議会がきちんと判断できるような資料を提供してほしいという声が多くの議員から出ました。
しかし、市側は、
市内部における組織
市と東京都との協議会を設置し、第一回目の協議を8月8日に行ったこと、
都と市の協議会の要項や協議会の議事要旨についての報告、
さらに移行に向けたスケジュールについての説明はありましたが、
中核市移行により、獲得した事務権限を生かしてどのような施策を充実させていきたいのかについては、明確な答弁ができませんでした。
また、市と都の協議事項について
「法令等に基づき移譲する事務に関連して、事務処理特例条例により移譲する事務についてとあるけれど、これは具体的には何を示すのか。」との質疑にも、具体的な説明もできない状況でした。
さらに、東京都では、保育サービスなど、都の単独補助金を出して、国基準に上乗せをした形で、保育サービスの充実をしていく事業が行われていますが、
都単独事業についてはどれくらいあるのかについても具体的資料が出て来ていない状況です。
市広報で市民に対して中核市移行への準備をしているとアナウンスメントしておきながら、
あまりにも市事態が、準備不足の状況で、こんないい加減なことで都と協議を始めていいのかととても心配です。
本来、地方分権を進める立場から言えば、地域のことは地域で決めてお金も使える体制が作られていくべきだと思います。
しかし、実態としては、現在の中核市の待遇については、権限は確保できても財源移譲が確保できていないために、中核市へ移行して、名は取ったものの、財政的には厳しい環境におかれているというのが実態です。
現在全国で41の都市が中核市になっていますが、この中核市になっている市長会からも、中核市は冷遇されすぎていると、常に国に権限移譲と財源移譲を求める要望が出されています。しかし、まだまだ進展はしていません。
果たして、都単独事業について、都の補助金は得られるのか。
財源は確保できるのか、この財源問題がやはり大きなネックとなっていくと思います。
「少なくとも半分は得られるのか。
それとも都の単独補助分の財源が確保できなくても中核市移行をめざすのか。」
こうした議員の質問に対し、副市長からは、
「他の市は(負担を)受け入れている。」
「市の負担になっても、それが市民の満足度につながっていかなければならない。」という内容の答弁もありました。
ということは、財源確保がなくても中核市に移行するということ?なのでしょうか。
知恵を出すことによって、よりよい政策実現ができる点はたくさんありますが、施策の実現には、やはり予算も必要です。
市長が標榜している、「多摩のリーディングシティをめざすこと」がイコール「中核市になることだ」という極めて短絡的な発想で、安易に進めてもらっては困ります。
地域に合った行政をつくっていくために、もっともっと地方分権を進めることはもちろん大切です。
しかし、その一方で、市民サービスを低下させないよう十分配慮をしながら、慎重に、賢く進めていくことも必要ではないでしょうか。
とにかく、十分な調査、研究をとにかく早急に進めて、まずは、しっかりと市民にも議会にも情報提供をしていってほしいと思います。